トップに戻る
製品 ハピネスの種

「やま」と「まち」を木材でつなげたい!
かつて“ノコギリを手にしていた少年”、国産材のプロフェッショナルになる

「やま」と「まち」を木材でつなげたい!かつて“ノコギリを手にしていた少年”、国産材のプロフェッショナルになる

イトーキが2010年から取り組む「Econifa(エコニファ)」は、国産材を活用したソリューションを生み出し、木材による上質な循環型社会の実現を目指すものです。今回は、初期よりEconifaで、国産材を用いた家具の企画や販促を担っている小島勇に、これまでの歩みや無垢材家具の魅力などを聞きました!

山で秘密基地をつくっていた幼少期

――はじめに、子ども時代のことを教えてください。

山形県米沢市で育ちました。兼業農家で、山も持っていたんですよね。小学生のころにはノコギリを持って山に入り、木を切って縛って秘密基地をつくって遊んでいました。ノミも、親に怒られるぐらいボロボロになるまで使っていましたね。

イメージ画像

※画像はイメージです。

――国立鶴岡工業高等専門学校に進まれたのはどうしてですか。

それこそ家の周りと山しか知らない生活だったので、視野を広げるために同校の機械工学科に入りました。材料工学や機械力学を学んだので、なんとなく将来はエンジニアになるのかなあと。木材を扱うことはあまりなく、流体力学に基づく防雪柵の研究で使ったぐらいでしたね。また私は当時スキー部員で防寒具を揃えていたので、いつも吹雪の中で作業をする係でした笑。

社内スカウトで国産材の道へ

――イトーキに入社したのはいつごろですか。

2007年ですね。2011年にEconifaの開発チームに異動しました。以前勤めた会社でパーティクルボード(木材の小片を固めたボード)等を活用した家具の開発に携わっていたので、Econifaチームの責任者と家具の話をしていたときに「そんなに木に詳しいなら!」という流れでしたね。

――まさに転機ですね! 特に印象に残っているプロダクトを教えてください。

最近のものだとオフィス用のビッグテーブル「silta(シルタ)」。でもやっぱり、最初に手がけた「SEGHERIANO(セゲリアーノ)」ですね。無垢材を水平・垂直に直交させ接着して作るクロスラミナパネル、これは無垢材の反りを軽減する材料で特徴的な木口の模様を意匠として活かした商品です。

――事業開発の最初期ならではの苦労もあったのではと思います。

はい。当時は無垢材を扱える工場とのお付き合いがほぼなく、林野庁の会合に参加して紹介していただいたり、取引先の方につないでいただいたり、高専の先輩に相談したり…大変でしたが出会いに恵まれました。

――これまでで最大のピンチはいつでしたか。

今は役目を終えたイトーキ東京イノベーションセンター・SYNQA(シンカ)で、1階スペースの「FSCプロジェクト認証」取得を目指したときですね。これがものすごく大変で!
FSCは、独立した第三者機関によって、プロジェクトに使用されたすべての木材が産出からプロジェクトの完了まで管理されていたことを認証するものです。表には見えない床の下地材、天井の不燃材まで、すべてFSC認証材(または管理木材)かつ国産を採用しました。伐採から製材・乾燥はもちろん、各製造工場をまわって協力をお願いしました。諦めそうになる事件・場面も多々ありましたが、みなさんに協力いただき、無事認証を取得することができました。

インタビュー風景

無垢材家具の効果にはエビデンスがある!?

――無垢材家具の魅力とはなんでしょうか。

いろいろありますが、触り心地でしょうか。家具は建築物と違って触れられるのが良いですね。

――無垢材家具を使う効果について実証実験をされたのですよね。

2020年にオフィスで使用する大型テーブルの表面材によって働く人の生産性や心理面にどのような影響があるのか、森林総合研究所、東京大学大学院、日本大学と共同研究を実施しました。その結果、「メラミン」と比較して、「クリ無垢単板」が集中力・発想力の向上、不安を抑え、ストレスを軽減させる効果が確認できました。

――感覚的にではなく、数字として結果が出たのは大きいですね!

はい。「本物の木の家具っていいよね」とよく言われますが、導入いただくためには、エビデンスも重要です。今後は、実証実験の結果に対する要因の研究が進むのではないかと思いますよ。

――無垢材にかかわる「すごい技術」を1つご紹介いただけますか。

各製材所の乾燥の技術はすごいですね。広葉樹は1年、針葉樹は3か月から半年天然乾燥を行い、その後人工乾燥することで家具などに加工できるのですが、しっかり乾燥していないと、割れたり収縮したりしてしまいます。これを「木が暴れる」なんて言います。

センダンと木粉に熱視線!

――今、注目の国産木材を教えてください!

早生広葉樹のセンダンですね。成長が早くて、一般的な広葉樹の半分、20年から40年ぐらいで家具に使えるようになります。赤茶色系の木目が美しくアメリカンチェリーのようです。強度もあるのでさまざまなものに活用できると思いますよ。国産早生広葉樹の活用は、国も林業の活性化に向けた施策の一つと考えているようです。

早生広葉樹のセンダン

――センダン、覚えておきます! ところで小島さんは、見ただけで何の木か分かるんですか。

木の全てに詳しいと思われがちなのですが、森林の中で木が立っている状態だと判別できないことのほうが多いです。スギとヒノキなど木目でわからない時は匂いですね。笑

――なるほど!ほかに注目されているものはありますか?

粉ですね。木のチップではなく粉末を色々活用できないだろうか… など考えています。最近、粉の話ばかりしているので一部で「コナ化ジジイ」なんて呼ばれています笑。

インタビュー風景

続けることがミッション

――環境や社会への貢献をどのように感じていますか。

Econifaは、もともとは社会活動のようなところから始まり、売上の小さいころからコツコツと取り組んできました。これからも、循環型社会の実現のために無垢材家具やインテリアを継続的に市場へ提供していくことが重要だと思います。そして、伐採し、苗木を植え、育てていくというサイクルを正しく回すための一助として、木の良さと技術力やデザイン力を掛け合わせて価値を上げていくことも大切ですね。

――クライアント企業の変化も感じますか。

そうですね。以前は公共施設や森に関わる事業を展開している企業からのご相談が中心でしたが、ここ数年は多くの企業からSDGsへの貢献のために、国産材の活用やFSC認証材等の国際認証材を使ったものを、といったご要望が増えています。
また、「本物の木の家具=高級品」として役員会議室などに置かれがちでしたが、今は社員の働く環境が重視されるようになり、執務スペースに置かれるようになりました。働く人にとって無垢材家具が身近になってきたと思います。

――社員のみなさんの集中力や発想力の向上にもつながりますね!

【おまけ】

――小島さんの愛用品を教えてください。

上下ピンク色のカッパです。山に入ったときに目立つしスズメバチ対策にもなります。あとは、バックパック。今でこそ多くの会社員がビジネスバッグとして使っていますが、私は10年以上前から。現場に行くと何があるか分からないので、常に両手フリーになるのがいいですね。

小島さんの愛用品

――それは欠かせませんね! あれ、カードホルダーや名刺入れも木製ですよね。

あ、そうですね! ヒノキとスギです。天然木を薄くスライスした突板で作られています。

木製のカードホルダー・名刺入れ

――ちなみにオフの時間も木に親しまれていますか。

DIYが好きで、縁台をつくったりします。でも、こだわりすぎていつまでも完成しないことも笑。

PROFILE

小島 勇
小島 勇
Kojima Isam

商品開発本部プロダクトマネジメント部第1企画室第2チーム

※所属部署・役職は取材当時のものとなります
カテゴリー
製品
タグ
ハピネスの種

ハピネスの種

働き方が変化の時を迎えた今だからこそ、自宅でも、オフィスでも、自分らしい幸せを感じるために。自分に一番フィットするハピネスな「働く」を見つけるためのヒントをお届けします。