
ウェーデンのストックホルムに移住し、YouTuberとしてスウェーデン暮らしを発信しているヨウコさんとマホさんにインタビュー!前編では、労働生産性の高さの秘密や女性の働き方に迫りました。後編では、スウェーデンのオフィスや在宅ワーク事情、気になる北欧家具や雑貨の取り入れ方もご紹介します。
▲今回インタビューを受けていただいたヨウコさん(写真左)マホさん(写真右)
スタンディング・デスクがスタンダードに!
――スウェーデンといえばオシャレなイメージがありますが、オフィスの雰囲気を教えてください!
マホさん:オシャレだと思います!大きな窓から光をいっぱい取り入れた空間に、北欧らしい家具や照明があります。オンラインでのやり取りも増えたので、電話BOXのようなミニ個室も増えました。フリーアドレスの導入も進んでいますね。
ヨウコさん:オフィス家具は、グレーなどではなく、ナチュラルな木目調が多いですね。観葉植物も多い。卓球台などの遊びスペースがあるところも。
そういえば、社内にシャワー室がありますね!会社としても社員の健康を促進していて、朝や昼休みに運動をする人が多いからですよね。
マホさん:たしかに! 健康促進で言うと、「歩きながら会議に参加しなさい」と言われることも。歩いていると、リフレッシュできてアイデアも出しやすいですね。
ヨウコさん:あとはコロナ禍で、会社でも自宅でもスタンディング・デスクがスタンダードになりましたね。
マホさん:そうですよね。在宅ワークが始まったばかりのころは、「机の上にもう一つ机を置いて、立って仕事をしなさい」と言われました。私も、スタンディング・デスクを買う前は、机の上に机やアイロン台を置いて仕事をしていましたよ笑。
▲急遽始まった在宅ワーク。立って仕事をするための工夫(写真左)
▲上下できるデスクを購入(写真右)
郊外でも海外でもテレワークができる!?
――在宅ワークと言えば、日本でもコロナ禍で一気に導入が進みました。スウェーデンはどうですか?
マホさん:もともと制度としてありましたが、多くて週1〜2日程度の利用だったかなと思います。今は、ワーク・ライフ・バランスのためにも在宅ワークを推奨している企業が多いですね。
ヨウコさん:一方で、オフラインで会うことの重要性も再認識されたように思います。週1日は、チームで対面する機会を設けるなどの動きもあるようですよ。
マホさん:そうですね。あとは最近の傾向として、郊外へ引っ越す人も出てきています。ちなみに出産前に働いていた会社では、海外に滞在しながら数週間〜数ヶ月働ける制度もありました。プロジェクトへの支障がなく、クライアントがOKしたらですけどね。
――面白い取り組みですね。日本では在宅ワークだとマネジメントが難しいなどの声もありましたが…。
マホさん:スウェーデン企業と日本企業では、管理職の方の役割が違うかもしれません。スウェーデンでは、マネジメントではなくコーチング。メンバーを信頼していて、結果を出せなければ自分のコーチングが悪かったと考える傾向があります。サボっていないかなと思ったり、細かく管理しようとしたりするマネージャーはいないのでは。
――在宅ワークでの工夫や、気をつけていることはありますか。
ヨウコさん:デスクやチェア、スクリーン、キーボードは良いものを選ぶようにしています。
マホさん:集中しやすい環境づくりのために、手当が出る企業もありますよね。
ヨウコさん:あとは時間管理を自分でするので、オン・オフのメリハリを大切にしています。時間内にのみ仕事をする、休日は仕事と関係ない趣味の時間にする、家族で協力して小さい子どもがいても一人の時間をつくる、できる部分は家事代行をうまく利用して手を抜く!
マホさん:メリハリですよね!私もヨウコさんと同じで自分だけの時間をつくる、あとは仕事とプライベートのスペースを分ける、ですかね。
▲ヨウコさんのデスク環境、左がシェアオフィス、右がホームオフィス
蛍光灯がない!? キャンドルを楽しむ生活
――ご家庭での北欧家具や雑貨の取り入れ方について教えてください!
ヨウコさん:機能的でシンプル、ナチュラルな北欧家具を取り入れています。それをベースに、雑貨や小物で柄や挑戦的な色を取り入れてアクセント、遊び心にしていますね。あとは、多くは持たず、少し高額でもこだわりのものを手に入れるようにしています。スウェーデンの人たちは、自然のものをインテリアに取り入れるのが上手。外で枝を拾ってきて飾ったり。
マホさん:IKEAにはお世話になっています。私はアジア系、スペイン系の派手なものが好きなのですが、夫の意見もあって落ち着いたノルディック・スタイルに笑。
義理の両親や姉もですが、セカンドハンドのお店でユニークなものを見つけるのも好きです。環境にも良いし、比較的安い。自分に合った掘り出しものに出合えるので人気ですね。買い物をする前に、どんな企業でどんな取り組みをしているのかチェックする人もいますよ。
――スウェーデンのご家庭によくあるものといえばなんでしょうか。
マホさん:キャンドル!窓際にキャンドルとライトを置く場所があります。あたたかい灯りに癒されて…すぐ眠くなってしまいます笑。
ヨウコさん:逆に、絶対にないのが蛍光灯!仕事部屋を明るくしたかったので探しても、工場用のもの?しかなくて笑。FIKA(フィーカ)用のセットやお菓子は必ずあるかな。
マホさん:そういえば、スウェーデンの家庭はリビングのカーテンを閉めないですよね。
ヨウコさん:カーテンは飾り用で、目隠し用ではないよね。リビングが明るくて外からよく見えるから、「この家のインテリア素敵!」と参考にし合ったりして笑。
▲窓際に並ぶ雑貨たち
▲FIKA(フィーカ)用。大好物の「セムラ」
スウェーデン移住を目指すなら!
――お二人から見て、スウェーデンで活躍できる人・暮らしを楽しめる人はどんな人でしょうか。
ヨウコさん:自立している人。自分で判断ができる人。協働を大切にできる人。
マホさん:自分の専門性を持っている人。仕事を見つけやすいですよね。スウェーデンでは、「できることを伸ばす」ことが大事にされていて、自分の強みを自分で理解している人が多いように思います。例えば、「このタスクをみんなでやることになったけど、どうする?」となったときに、上から指示されるのではなく、自分の得意分野を活かして手を挙げた人に決まることが多いです。あとは、最低でも英語、スウェーデン語もできれば尚良し。
ヨウコさん:生活するという点では、過剰なサービスを求めない人。税金でまかなわれる社会なので、基本的にはなんでも必要最低限。日本のような神サービスは期待できないですね。
――たくさんのお話をありがとうございました!いつか必ず、ストックホルムに遊びに行きたいと思います。
【ヨウコさん&マホさんの「スウェーデンで驚いたこと」ベスト3】
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ヨウコさん
東京都出身。高校時代の1年間のアメリカ留学の経験から異文化や海外生活に興味を持つ。明治学院大学英文科卒業後、家具店営業、広告代理店営業などを経て古美術商に。仕事の傍ら取得した日本語教師の資格を使ったボランティア活動の場でスウェーデン人(現在の夫)と出会う。2006年結婚を機にスウェーデンに移住。2007年北欧雑貨の輸出卸会社を起業、現在に至る。現在小1、小6(7歳、12歳)の2児の母。
マホさん
千葉県出身。父親の仕事の関係で5歳〜10歳までタイのバンコクで過ごす。タイでテニスを始めて日本帰国後もテニス漬けの青春を送り、アメリカのジョージア大学にテニス留学。大学院卒業後、IT系の企業に就職しアメリカ研修中に出会ったスウェーデン人と結婚、2018年にスウェーデンに移住。2022年に第一子を出産、育休中に転職活動を行い2023年3月からITコンサルタント(プロジェクトマネジャー職)として仕事復帰予定。
ヨウコさんとマホさんが運営しているYouTubeチャンネル
Nord-Labo 北欧研究室
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