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掲載日:2023/03/13

「学習机の日」制定記念!開発者インタビュー
学習机の「いま」と「これから」

「学習机の日」制定記念!開発者インタビュー

2月9日が「学習机の日」になったことをご存知ですか?この記念日はイトーキでスチール製の学習机が発売してから60周年となることを記念して制定されました。今回は「学習机の日」の制定を記念して、学習机の開発や今後の展開など学習机の「いま」と「これから」について、開発担当者にインタビューしました。

インタビューに応えてくれたのは、Web事業統括部の太洞 好博(だいどう よしひろ)と藤本 有希(ふじもと ゆうき)。イトーキで長年、学習机の開発に携わった経験があり、学習机開発の中心メンバーです。

これまでの学習机の変化と「いま」人気の学習机

── まずは、これまでイトーキではどんな学習机が作られてきて、お二人がどんな開発に携わってきたのか、教えていただけますか?

太洞さん:イトーキの最初の学習机は、1962年に発売されたスチール製デスクでした。現在のような木製のデスクが定番になったのは1970~80年代ですね 。

日本初のスチール学習デスク「イトー キジュニアデスク」

成長にあわせて高さを調節できる日本初のスチール学習デスク「イトー キジュニアデスク」

藤本さん:1980~90年代ころは、天板の上に大きな書棚や電気スタンドがついたものが「学習机」の定番でした。現在は、紙の教材が減っていて、ごく軽い書棚の学習机が多くなっています。書棚の大きさにも時代を感じますね。

引き出しがワゴン式となってパソコンなど物が置けるようになった「W11」

引き出しがワゴン式となってパソコンなど物が置けるようになった「W11」

太洞さん:2000年代になると、机や書棚が分かれていて組み換えられる学習机が登場します。イトーキでも、書棚と机、ワゴンを自由に配置できる「フリーワンデスク」や、必要なアイテムを自由に選んで購入できる「セレクトワンデスク」などのシリーズを開発し、僕も携わりました。

書棚と机とワゴンそれぞれを自由に配置できる「フリーワンデスク」

書棚と机とワゴンそれぞれを自由に配置できる「フリーワンデスク」

お部屋のレイアウトに合わせて必要なアイテムを選んで購入できる「セレクトワンデスク」

お部屋のレイアウトに合わせて必要なアイテムを選んで購入できる「セレクトワンデスク」

── 学習机も時代の変化に合わせて、変わり続けているんですね!では、現在、人気がある学習机はどんなタイプでしょうか?

藤本さん:現在、イトーキの学習机の定番となっているのは、「カモミール」「リーモ」「ウットフォーク」の3つのブランドです。どれも、天然木の風合いを活かしたナチュラルなイメージで、いかにも「学習机」というより家具っぽく、インテリアに馴染むデザインになっているのが特徴です。

カモミールリビング

奥行きがコンパクトで、リビング置きを前提とした「カモミールリビング」(2014年発売)

リーモ・ユニットデスク

机と書棚がセットで置き方の自由度が高い「リーモ・ユニットデスク」(2012年発売)

ウットフォーク

充電用USBとコンセント、タブレットホルダーが付いた小棚付きの「ウットフォーク」(2017年発売)

学習机「カモミール」開発秘話とロングセラーの背景

「カモミール」開発秘話とロングセラーの背景

── これまで学習机の開発に携わってきた中で、開発秘話と言えるような、印象深いエピソードがあれば教えてください。

藤本さん: 2010年発売の「カモミール」が発売されてから3年目に、天板に節目の入った木材を採用したことです。工場でカバ(バーチ)材の節目が捨てられているのを見て、その自然の風合いを活かして、あえて天板に使うことを提案しました。

太洞さん:当時は木目の整った木材を使うのがあたりまえで、節目やスジの入った木材は、品質が劣るという扱いだったよね。

藤本さん:そうです。ところが、天板に加工して数量限定で発売したところ、あっという間に完売した。イトーキとしてもチャレンジングな商品でしたが、以来、自然な木目を活かした天板が「カモミール」の特徴になり、ロングセラーの一つになりました。

自然の木目を活かした天板を持つ「カモミール」

自然の木目を活かした天板を持つ「カモミール」は、今でもイトーキの学習机の中では人気商品

── 今でこそ、「一つひとつ表情が違う」というものも人気がありますが、「カモミール」の開発当時はそんなエピソードがあったのですね。では、「カモミール」はなぜロングセラーに?

藤本さん:僕が思うのは、学習机を選ぶ人に「長く使えそう」と思ってもらえたんじゃないか、ということです。デザインによっては、学習机は子どもの成長につれて部屋に合わなくなってしまうことがある。「カモミール」は学習机でありながら、インテリアにも馴染む色合いやデザインです。そんな「家具っぽさ」が、ロングセラーの理由の一つかなと思います。

藤本さん

「長く使ってもらえるものを・・・」開発担当者としてのこだわりと消費者の声

── デザインだけでなく素材も選び抜いて開発されていることがよく分かりました。そのほかに、開発担当者としてこだわっていることはありますか?

太洞さん:学習机は何年も使うものなので、部品やパーツは互換性が保てるように心がけています。学習机を購入された方が、引っ越しでパーツがなくなってしまい「同じパーツを購入できますか?」と、何年も経ってから問い合わせいただくこともあるんですよ。

藤本さん:中には、「私が使っていたものを娘にも使わせたい」というお母さんや、「姪に譲りたい」という方もいて、「バラバラにして保管しておいたので、組み立て直したい」「親戚の家に移動するために、いったん解体したい」という声もあります。こうしたケースに対応するためにも互換性を大切にしたいですね。

── 親子2代で使える学習机って、サステナブルな観点でも良いですね!

太洞さん:開発する側としては当然、新しいものを作りたい。でも、何でも新しいものを作ればいいというのではなく、商品を組み立てるネジなどの部品から、コンセントや照明、引き出しのようなパーツまで、互換性を考えなければいけない。開発担当者として、5年後、10年後を見据えたモノづくりを大切にしていきたいという想いがあります。

太洞さん

生活環境が大きく変わる中、これからの学習机はどうなる?新たな学習机への期待

── 弊社は60周年を節目にホームユース向けの新レーベルの立ち上げや、インターネット通販にもより力を入れていく方針ですよね。学習机の開発についてはいかがですか。

太洞さん:家具販売店やショールームが減っていますし、従来はあり得なかった低価格の家具も登場して、家具業界はもちろん学習机にも変革が起こっているのを感じます。

藤本さん:「子ども部屋に一人一台の学習机」という感覚はなくなりつつあります。イトーキの学習机の文化を守らなくてはという使命感もある中、開発経験が豊富な太洞にも再び開発メンバーに加わってもらい、 新たな学習机の開発に本格的に取り組む体制が整ったところです 。

── 我々が手掛ける進化した学習机が誕生するかもしれないんですね。楽しみです! 最後に、お二人が考える「これからの学習机」について教えていただけますか?

藤本さん:タブレット学習やプログラミングだけでなく、動画編集やゲームなども含めて、お子さんがパソコンを使うのが当たり前になっています。今はパソコンをメインにデスクを使うお子さんもいて、勉強はリビングでというシーンも増えています。今後は子ども用のパソコンデスクという形も考えていきたいです。

太洞さん:どんな学習机が売れるのかということもさることながら、これからの子どもたちはどんなふうに勉強して、どんなふうに生活していくのかを想像して、我々の提案するストーリーを構築し、モノのデザインや開発に移行していくという過程が必要だと思います。

藤本さん:私たちは、これからも家具メーカーならではの品質と機能性を守りながら、子どもたちの暮らしに寄り添った学習机の開発を目指します。新たな「イトーキの学習机」の誕生に期待してください。

子どもたちの暮らしに寄り添った学習机の開発を目指します

発売60周年を記念して「学習机の日」を制定

1962年、イトーキから日本で初めての学習机が発売されました。2022年、学習机の発売から60周年を迎えたことを記念して、イトーキは2月9日を「学習机の日」に制定。この記念日は、60年間学習机を作り続けてきたイトーキが、これからも子どもたちの変わりゆく生活に寄り添った学習机を開発していくという意志も表しています。

※イトーキ学習机60周年記念特別サイトはこちら

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PROFILEPROFILE

太洞 好博
太洞 好博
(だいどう よしひろ)

Web事業統括部(商品業務)MD課PMチーム

プロダクトデザインの求人を見て、子どものころ使っていた学習机がイトーキであったことをきっかけにイトーキに応募。1998年~2008年まで学習机の開発を担当。仕入れ担当などを経て、 2023年の異動に伴い、学習机の開発に戻った。

藤本 有希
藤本 有希
(ふじもと ゆうき)

Web事業統括部(商品業務)MD課PMチーム

1999年の入社から2018年ころまで、主に学習机の開発に携わる。2019年にWeb事業統括部の立ち上げに伴い、現在では在宅ワーク家具などと平行して学習机の開発に取り組んでいる。

※所属部署・役職は取材当時のものとなります

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