在宅ワーク・テレワーク環境を整えるには?
ガイドラインから考える理想の環境

在宅ワーク・テレワークを安全かつ効率的に行うためには、環境整備が重要になります。今回は、自宅で仕事をする環境を整えたいと考えている方や、会社の在宅ワーク・テレワーク導入に携わっている方に向けて、厚生労働省の「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」や、総務省「テレワークセキュリティガイドライン第5版」をご紹介しながら、環境整備・環境構築のポイントをご紹介します。

 

 

快適な在宅ワーク・テレワーク環境をつくるには?

コロナ禍では、インターネットなどの情報通信技術(ICT)を活用し、場所や時間にしばられない柔軟な働き方を目指すテレワークの導入が進みました。一方で、会社(使用者)も働く人たちも、さまざまな課題や戸惑いを感じたのではないかと思います。

厚生労働省は、会社(使用者)が適切に労務管理を行い、働く人たちが安心して働くことができる良質なテレワークを推進するため、双方にとって留意すべき点や望ましい取組みなどをまとめた「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」(※1)を発表しています。このガイドラインをもとに、在宅ワーク・テレワークの環境整備について考えてみましょう。

 

(※1)厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン

 

 

 

ガイドラインから考える「良い作業環境」

ガイドライン(パンフレット)(※2)には、働く人たちのために「自宅等においてテレワークを行う際の作業環境を確認するためのチェックリスト」や、「自宅等でテレワークを行う際の作業環境の整備について」が紹介されています。その中からピックアップしてご紹介していきます。

 

(※2)厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドラインパンフレット

 

1. 空間、部屋の確保

はじめに「作業等を行うのに十分な空間が確保されているか」です。これまで自宅で仕事をすることがあまりなかった方は、一番の問題になるかもしれませんね。仕事用の机や椅子を置けることはもちろん、身体を縮こめなくても大丈夫なスペースを確保することが大切です。また、転ぶことがないよう整理整頓された環境づくりも忘れないようにしましょう。

仕事用のスペースの確保については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。在宅ワーク・テレワークのスタイル別に必要だと考えられる広さの参考例もご紹介していますので、興味のある方はチェックしてみてくださいね。

 

在宅ワーク・テレワークの部屋づくり、捗るレイアウトのポイントは?

 

2. 明るさの調整

続いて「作業を行うのに支障ない十分な明るさがあるか」を確認しましょう。会社のオフィスは、働くのに適した明るさが保たれており、あまり気にしたことがなかったかもしれません。自宅では、くつろげるように間接照明を活用していたり、仕事用の机や椅子を置こうと思っている場所にちょうどいい照明が設置されていなかったりすることが考えられます。

部屋の照明だけでは暗いと感じる場合は、卓上照明などを活用すると良いでしょう。また、仕事に必要な書類を読むときに支障がないか、光源から受ける眩しさがないかを確認し、必要に応じて位置を調整するようにしましょう。

 

3. 換気と室温調整

コロナ禍で意識している方も多いと思いますが、換気や室温調整についても気を配ることが大切です。窓を開けたり換気設備を活用したりすることで、室内の空気の入れ替えを行うようにしましょう。また、エアコンの位置もポイントになります。1日8時間、1年を通して在宅ワーク・テレワークをすることをイメージして、作業に適した温度や湿度に調整しやすいかどうかを確認してみてください。目安として、室温は17℃〜28℃、相対湿度は40〜70%とされていますので、体感だけでなく温・湿度計で確認してみると安心ですね。

 

4. 使いやすいパソコンと周辺機器

パソコンや周辺機器は、身体の疲労や在宅ワーク・テレワークの作業効率に影響します。ディスプレイは、画面の輝度やコントラストを簡単に調整できるものが良いとされています。その際、ディスプレイ画面の明るさ、書類やキーボードを見るときの明るさ、周辺の明るさの差がなるべく小さいことが望ましいとされています。

また、デスクトップ型のパソコンの場合、作業がしやすいようにキーボードの位置を調整して使用するようにしましょう。最近ではタッチパッドやタッチスクリーンのパソコンを使っている方もいると思いますが、マウスを使う場合は、自分の手に合わせた形状や大きさのものを選ぶことが大切です。持ちやすいか、操作がしやすいか、確認しましょう。

厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(※3)では、より詳しくまとめられています。

 

(※3)厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン

 

5. 仕事に適した机(デスク)

ここからは、机と椅子についてのチェックポイントになります。まず机についてですが、仕事に必要なものを卓上に配置できる広さがあることが大前提です。会社のオフィスでは、全員が同じ大きさの机を使用していたかもしれませんが、実は必要な机の大きさは仕事内容によって異なります。特に在宅ワークを行うスペースが限られている方は、必要以上に大きい机を選ばなくて済むように、具体的にイメージしてみると良いですね。

机に向かって座った際に、脚が窮屈でない空間があることや、自分に合った高さであること、高さの調整ができることもポイントです。せっかく在宅ワーク用に机を新しく購入するのであれば、自分の体型・体格に合わせたものを選ぶようにしましょう。

 

 

テレワーク向きのおすすめの机は?

ここでは、イトーキが在宅ワーク・テレワーク用におすすめする4つのシリーズをご紹介します。仕事内容や仕事用のスペース、お好みに合わせて検討してみてくださいね。

 

 

まるで自分の部屋!?充実した収納が人気【オノフ】

ONOFF(オノフ)は、在宅ワーク・テレワークで、オン・オフの切り替えがしやすい家具として誕生しました。まるで小さい自分だけの部屋のように、使わないときはスッキリたためます。鍵をかけておくことができるので、お子さんやペットがいる方も、大切な資料などを安心して収納できます。ほかにも、小物棚、鞄などを変えておけるハンギングバー、カップホルダー、ケーブルスリット&配線孔、足元の収納スペース、PC・タブレットスタンドなど、「あったらいいな」が詰まった机です。

 

スタンディングデスクにも!【サリダリフティングデスク】

サリダシリーズのガス圧式昇降デスクです。レバーを引くだけで、机の高さや角度を無段階で調整できるので、自分の好みに合わせて快適に使用できます。さらに、使わないときは天板を折りたたんでコンパクトに収納できるので、仕事スペースが限られている方にも好評です。パソコンの配線スペースも確保されていて、在宅ワーク・テレワークにぴったり。昨今言われている、「座りすぎ」のリスクが心配な方や運動不足を感じている方にもおすすめです。

 

働き方やスペースに合わせて選べる!【origo】

origo(オリゴ)は、オフィス家具用の商品をベースにつくられています。在宅ワーク・テレワークをプロ仕様の机でアップデートしたい方におすすめです。今回は、origoシリーズの中から2つの商品をご紹介します。

 

1つ目はご自宅のインテリアにも馴染みやすいシンプルなデザイン。横幅を80㎝または100㎝から選ぶことができ、コンパクトで場所を選ばないスタイリッシュさが人気です。傷や汚れに強い天板が使用されているため、安心して長くお使いいただけます。

2つ目は、横幅が120㎝あり、天板カラーを4色から、脚カラーを3色から選べる(2022年2月現在)タイプです。天板には、抗菌防臭効果のあるポリジン加工が施されています。

 


こちらは、1つめのオリゴテーブル

 

自動でフィット!健康的に働くために【toiro】

toiro(トイロ)は、一人ひとりの体格差やワークスタイルに合わせて、天板の高さを自由に変えられるフレキシブルな机です。アプリに事前に身長を登録しておくと快適に仕事ができる立ち姿勢・座り姿勢の推奨机上面高さが自動設定されます。また、1日の消費カロリーが少なかったり同じ座位姿勢が続いたりすると、アプリが立位姿勢への切り替えをアラートしてくれる嬉しい機能も!効率的・効果的にパフォーマンスを発揮したいあなたを、理想的な姿勢を促すことでサポートしてくれます。

 

具体的に在宅ワーク・テレワーク用の机を検討したいという方は、こちらの記事も参考にしてみてくださいね。

 

【最新】在宅ワーク・テレワーク向きの机の選び方は?机と椅子のバランスが重要な理由

 

 

6. 仕事に適した椅子(チェア)

次に、椅子について見ていきましょう。先ほどご紹介した厚生労働省のガイドラインでは、「安定していて、簡単に移動できる」「座面の高さを調整できる」「傾きを調整できる背もたれがある」「肘掛けがある」タイプの椅子が、無理のない姿勢で作業を行うために良いと示されています。

もしかしたらダイニングチェアやソファに座って在宅ワーク・テレワークをしていて、姿勢がつらかったり、首、肩、背中、腰などに疲れを感じたりしている方もいるかもしれません。これらの機能を備えた仕事用の椅子を選ぶことで、疲れにくい正しい姿勢で作業がしやすくなり、仕事の作業効率を高めることが期待できます。

 

 

テレワーク向きのおすすめの椅子は?

ここでは、イトーキが在宅ワーク・テレワーク用におすすめする4つの椅子をご紹介します。機能性はもちろん、デザイン性でも好評いただいています。お気に入りの椅子を探してみてくださいね。

 

 

画期的な座り心地とデザイン性!【バーテブラ03】

vertebra03(バーテブラゼロサン)は、プロダクトデザイナーの柴田文江氏を迎えて生み出したワーク用の椅子です。背と座面が自然と動き、どんな姿勢でも座る人の身体に優しくフィット。人間工学に裏付けされた画期的な座り心地で高い評価を得てきたVertebraシリーズとして、快適性を実現する先進のメカニズムを採用しています。自宅のインテリアにも馴染みやすいデザインにも注目です。

 

高級感とカラー展開が嬉しい!【レヴィチェア】

シンプルなフォルムで、豊富な張地とカラー展開が人気のleviチェア(レヴィチェア)シリーズ。在宅ワーク・テレワーク用に自分の好みに合った1脚を選ぶ楽しさがあります。調整機能がなくても優しい座り心地が得られ、アルミフレームとアームレストの高級感、背もたれと座面のクッション性も好評です。「2019年度グッドデザイン賞(日本)」や、アメリカ、ドイツのアワードでも受賞しています。

 

機能充実&独創的なデザイン!【サリダ YL9】

在宅ワーク・テレワーク用の椅子として選ばれているSALIDA(サリダ)シリーズ。なかでも人気なのがYL9です。操作不要な体重感応式シンクロロッキング機能や、上下の首振り・高さ調節も可能なヘッドレスト、9段階で調整ができる肘掛けも搭載。座面の奥行調整も可能です。背もたれの部分に強靭さと通気性を備えたエラストマー素材を使用した、独創的なデザインが好評です。

 

家具と馴染むニュアンスカラーが新しい!【サリダ ワントーン】

SALIDA(シリーズ)の新作、SALIDA onetone(サリダ ワントーン)チェア。最大のポイントは、「家のインテリアに馴染む」をコンセプトに、自然からインスピレーションを得たニュアンスカラーで全体を1色に統一していること。コロンとしたかわいらしいフォルムと、体のフィット感があり各種調整もできるので、在宅ワーク・テレワーク用の椅子としても安心です。

オフィスチェアとダイニングチェアやゲーミングチェアの違い、より詳しい選び方のポイントはこちらの記事で紹介しています。ぜひ、在宅ワーク用の椅子選びに役立ててみてください。

 

【最新】在宅ワーク・テレワーク向きの椅子は?おすすめの選び方と注意点

 

 

セキュリティやインフラの整備も必要

ここまでは、働く人が意識したいポイントを中心にご紹介してきました。ここからは、会社(使用者)の在宅ワーク・テレワーク導入に携わっている方に向けてインフラ面での環境構築について簡単に解説します。

 

 

1. 十分なセキュリティの担保

会社が在宅ワーク・テレワークの導入を検討する際、一番気になる点かもしれません。総務省の調査(※4)でも、デジタル化が進まない理由として「情報セキュリティ」が挙げられています。

総務省では、テレワークセキュリティに関して専門窓口を開設しているほか、「テレワークセキュリティガイドライン」(※5)を策定しており、テレワーク方式の解説や比較、検討・選定の参考になるフローチャート、トラブル事例と対策などが紹介されています。

 

(※4)総務省「令和3年 情報通信白書

(※5)総務省「テレワークセキュリティガイドライン(第5版)

 

2. 遠隔での仕事を円滑にするITツールの導入

これまで対面でのコミュニケーションや資料の受け渡しが一般的だったかもしれません。在宅ワーク・テレワークを導入したからといって、コミュニケーションが減ったりデータの受け渡しがうまくいかなかったりするようでは仕事に支障が出て困りますよね。

コミュニケーションツールとして、チャットツール(ビジネス用)やWeb会議ツールを導入することを検討しましょう。データのやり取りについては、オンラインストレージを活用することで、社内外の人との受け渡しが可能になります。

こちらの記事でも、ご紹介していますので参考にしてみてください。

 

在宅ワーク・テレワークに必要なものは?必需品から役立つツールまで紹介

 

3. 働き方に合わせた評価とコミュニケーション

在宅ワーク・テレワークでは、上司が対面で部下を指導することができません。特に、プロセスが見えにくく、どのように能力を把握したり評価したりすればいいのか悩まれている方もいるのではないでしょうか。

部下が“後出し”だと感じることのないよう、あらかじめ求める内容や水準を伝えておくことや、途中で共通認識を持つためのすり合わせの面談の機会を設けることが大切です。また、評価者に対しては、新しい働き方に合わせた人事評価について事前に研修などを行い、理解を促すと良いでしょう。これらの面談や研修といったコミュニケーション機会も、2でご紹介したITツールを活用することで在宅ワーク中に設けることができるでしょう。

 

 

まとめ

 

今回は、在宅ワーク・テレワークを安全かつ効率的に行うための環境整備についてご紹介しました。自宅で仕事をする環境を整えたいと考えている方が工夫できること、会社(使用者)の在宅ワーク・テレワーク導入に携わっている方が検討したいことなど、さまざまなポイントがあります。在宅ワーク・テレワークは、コロナ禍だけでなくアフターコロナにおいても、働き方改革や人材の確保などの面から定着することが予想されます。国のガイドラインなどを参考にしながら、丁寧に取組みを進められると良いですね。