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働き方 レジリエンスと向き合う

相手にも、自分にも。
「尊重」ですべてをハピネスに!

相手にも、自分にも。「尊重」ですべてをハピネスに!

この時代を、どう生きるか。そんな問いの中、「レジリエンス」をキーワードにお送りしている本シリーズ。
経済学者で国際大学GLOCOM准教授の山口真一さんと、イトーキ 先端研究統括部統括部長の大橋一広さんによる対談を通じ、みなさんにお届けしています。
今回はいよいよ新しい働き方に対応するための最後のポイント、「相手への尊重」についてお話を伺っていきます。

こんな時代、「ネットワーク」はどう広げるの?

大橋 新しい働き方にしなやかに対応していくための最後のポイントは「相手への尊重」。「こころ」にも「コミュニケーション」にも関わりが深いキーワードですね。

山口 はい、コロナ禍でテレワークが中心になりつつあるいま、大きな問題になっているのが「ソーシャライジング(社会的な活動)」です。つまり、外にいる人、離れた人とコミュニケーションを取る機会が減り、「ネットワーク」を広げることが難しくなったということ。自分で強く意識しないと、ネットワークが広がっていかない、という状況なんですね。

この問題は、とくに新入社員において顕著に表れています。彼らは入社時から出社できない状況が続くことで、直接上司から仕事を教わる機会が失われているんですね。もちろんオンラインでもコミュニケーションは取れますが、関係性を深めるには相当な努力や工夫が必要になります。
しかし、これまでお話ししてきたとおり、他者の経験を聞いたり、関わったりすることで創造性は高まっていくもの。そのためには、ネットワークを広げることは欠かせません。

大橋 そうですよね、よくわかります。

山口 そこで大切になってくるのが「相手を尊重すること」なんですよね。
たとえば、あるミーティングで、自分だけ好きなように発言する人がいる。これはリアルの場ではさほどストレスに感じなくても、オンラインだとかなりキツいんですよね。そうすると、この人からはどんどん人が離れていってしまう。テレワーク時代の豊かなコミュニケーションにおいて、他者を尊重することは【絶対】なくてはならないことなんです。それができる人とできない人の差が、リモートワークの世の中でどんどん広がっていっているように思います。

大橋 コミュニケーションという点でいうと、僕はもともと社交性が高い性格ではないんですが、「その人に会って話を聞きたい」という好奇心が強くて飛び込んじゃう。結果、人と会う機会は多い状況や仕事の仕方になっていると思います。いわば、好奇心が知見を広げる原動力になっている。
そうして人に会うとき、僕はお互いが「初回から本音で正直に話そう」というモードになるように心がけているんです。腹の探り合いで時間を取るのは自分にとっても相手にとってももったいない。だから、いかに最初の数分間で自分自身を知ってもらって、相手も、自分も言いたいことを言える雰囲気や信頼関係に持っていけるか、を意識しています。

これがなかなか「難しい」ことが多いのですが、特にオンラインだと、リアルで話す以上に相手の様子がわからず、気を遣ってしまい、さぐり合いでしゃべりたいことをしゃべれないまま1時間、2時間とあっという間に過ぎちゃう。「今日はご挨拶までで、本題はまた次回にしましょう」なんてミーティングをするくらいなら、最初から話したいことを話したほうがいいと僕は思うのです。

山口 それはとてもいいことだと思います。大橋さんはネットワークを広げていく原動力として、好奇心があると仰っていましたよね。そもそも、話を聞きたいから会いに行っているという時点で、相手を尊重して敬意を示している。その上で「フランクにいきましょう」というのは、「自分に興味があって率直に話したいんだな」と相手に伝わっているはず。
ですから、相手も楽しい時間を過ごせているでしょう。

大橋 そうだといいなと思います。

山口 楽しい時間を過ごせるということは、想像以上に大切なこと。相手がどんな社会的地位の人であっても、楽しければその時間はいい思い出となって、結果的に繋がりを深めていけます。一方で、形式ばったことの繰り返しだけでは互いに楽しい時間にならず、「なぜこんなことに時間を費やしているのだろう」と感じてしまう。あくまで相手を尊重した上で、一気に懐に入っていくことは、コミュニケーションにおいて重要だと思います。

大橋 相手との関係を深めて対話することで経験が豊かになり、その経験がレジリエンスにもいい影響を与える。とてもいいサイクルが生まれるわけですね。

インタビュー風景

◇  ◇  ◇

尊重は、相手のためにも、自分のためにも。
こんな今だからこそ、より大切にしたいキーワードではないでしょうか。
次回は、「レジリエンス」シリーズ第5回。「ネガティブ思考に陥らず、レジリエンスを高めていくためのコツ」について、お2人と一緒に考えていきたいと思います。

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レジリエンスと向き合う

受けたダメージを回復したり、環境へ柔軟に適応するしなやかな状態をつくる「レジリエンス」。何が起こるか分からないこの時代だからこそ、注目が集まるレジリエンスにとことん向き合います。