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働き方 ハピネスの種

Calbee×ITOKI 2人の社長に聞く
「これからのオフィスのあり方」<後編>

Calbee×ITOKI 2人の社長に聞く「これからのオフィスのあり方」<後編>

カルビー株式会社の伊藤秀二社長と、イトーキで社長を務める平井嘉朗による対談の後編。
ファシリテーターはカルビー株式会社 常務執行役員 CHRO兼 人事総務本部長の武田雅子さん。
パラダイムシフトにより働き方が大きく変わる中、リアルとリモートの使い分け方、これからのマネジメント、これからのオフィスの可能性に迫ります。

【前回記事は こちら

働き方の選択肢を増やすことは、社員のトレーニングになる

武田 イトーキさんの「XORK Style」も「Calbee New Workstyle」も、社員に自己裁量や自由を与える点が共通していますよね。それはマネジメントのあり方にもつながると思うのですが、私が「Calbee New Workstyle」を進める中で印象的だったのは、伊藤さんが「性善説マネジメントをしなければいけない」と言ったことでした。
トップの立場から「多少失敗してもいいから、人の可能性を信じてマネジメントをしていこう」と言い切ってくれたことで、人事部門としては大変助けられました。どうしても部下を管理したい人はゼロではないので、反対の声もあります。そこでトップが言い切ってくれると前に進みやすかったんです。

伊藤 新しい価値を作ったり、旧来のものを壊したりしないと、会社は変わっていきませんから。そういう動きができる人を増やすためには、管理型のマネジメントは向かないと思うんです。

平井 その意味で、働き方や働く場所を自分で選ぶのは、ある種のトレーニングのように感じています。伊藤さんがおっしゃったような“新しい価値”を生むには、上からの指示で動いてきた世界から変わらなければいけない。自分で考えて行動できる、そういう人を増やさないといけません。そこで、与えられた場所で与えられた仕事をする習慣から脱して、一人ひとりが仕事場や業務を選択するようにしていく。日々そういう思考を繰り返すことは、“新しい価値”を生む人を増やすことにつながると思うのです。

伊藤 不思議なもので、細かい管理・いわゆるマイクロマネジメントをするほど、部下は上司に言われた範囲の中で「100点で返そう」という思考になってくるんですよね。そして上司の評価基準も「自分の指示の範囲の中でどれだけ足りなかったか」という減点部分に目が行ってしまう。
でも仕事って本来はもっと冒険だらけで「40点ばかりだけど、チャレンジを続ける中で、ある日120点が生まれる」というような世界もあっていいと思うんですよね。失敗の中から新しいものを生み出すといった思考になれば、みんながもっとアクティブに挑戦できるはずです。

平井 仕事や発想の自由度をあげるために、働く場所を自由にする。そう考えるとよいのではないでしょうか。リモートワークも、選択肢を増やして自由度をあげる意味があるわけで、リモートとリアルの価値を社員が考えて、自分のベストな環境を探すのが大切だと思います。

働き方の選択肢を増やすことは、社員のトレーニングになる

オフィスは、他者との「信頼」という土壌を作る場所になる

武田 リモートとリアルの価値という言葉が出ましたが、コロナ禍でリモートワークが普及したからこそ、今後はリアルコミュニケーションの価値が問われると思います。それはオフィスの価値にも通じると思うのですが、どう考えていますか?

平井 リアルの価値やオフィスの価値を総称するならば、私は「関係性の醸成」だと思うんですね。
個人と個人、あるいは個人と企業でも構いません。会ったこともない人や企業が信頼関係を作るために、リアルがあるのだと。確かにオンラインでもつながれますが、信頼関係をオンラインで築くのは簡単ではない。本質的な人となりを知ったり、共感したり、熱量を感じたり。良い意味で相手の本質を見抜くのは、リアルだと思うのです。

伊藤 本当にそう思いますね。初めての商談がオンラインだと難易度が上がります。もともとリアルで関係のあった相手ならスムーズにいくのですが。

平井 そうですよね。お互いが知り合うには、たとえるなら信頼の「土壌」が必要で、その土壌があるからこそ、オンラインで会話しても関係性という木々が育っていきます。もし土壌がないままオンラインでやろうとすると、会話はできても、実は木々がやせ細っていくのではないでしょうか。この土壌づくりこそが、リアルの価値だと思うんですね。

伊藤 さらにリアルは、たくさんの人が集まって、混ざり合って、さまざまな意見が出てくる場でもあると思います。これからのオフィスは、仕事をする場というより、コミュニケーションに特化した場になっていくかもしれません。私たちの新オフィスもコミュニケーションを重視した「あつまりたい“空間”」を目指していて、社内だけでなく、社外からも人が交わる場になればいいと思っています。

平井 そうですね。オフィスは今までの業務中心のあり方ではなく、他社との混ざり合いも含めてコミュニケーションで新しいものを生み出す空間になっていくでしょう。実はそれを強く感じたのが、カルビーさんとの「Open Working Project」なのです。

Open Working Projectとは

カルビー様とイトーキが「働くを愉しむ人づくり」「明日の働くを自らデザインする」というコンセプトのもと立ち上げたオフィスシェアの取り組み。両社の社員が、約2か月にわたり、お互いの職場を行き来しワークショップやイベント、自分自身の振り返り(内省)を実践しながら働いた実験的な取り組み。

Open Working Projectとは

平井 まだパイロット版の取り組みですが、カルビーの社員さんといわゆる“他流試合”をした結果、たとえば「Calbee New Workstyle」に共感したイトーキの社員が、数人で弊社の環境改善プロジェクトをスタートさせるなど、「働く」に対してのポジティブな変化が出ています。
見知らぬ同士が交流して関係性の土壌を作ることで、新しい何かが生まれます。そのためには、リアルな空間がなくてはいけません。オフィスの価値はここにあります。これからのオフィスのあり方を考える上で、大きなテーマになっていくのではないでしょうか。

伊藤 そうですね。新しい価値・イノベーションを生むために「異業種コラボレーション」の機会も広げていきたいと考えています。他社の社員との交流からこんな新しいことができそうとか。オフィスでそんなチャンスを作れると、さらに面白い仕事が増えるでしょう。ぜひ、私たちの新オフィスも、そんな空間にできたらと思います。また、今日のようにいろいろとお話しできたらいいですね。こういったコミュニケーションが、新しいアイデアにつながるかもしれませんから。

◇ ◇ ◇

働き方が大きく変わる中、試行錯誤しながら従業員を牽引していくリーダーの想いを率直に語っていただきました。場所と時間の「自由」を手に入れたとき、ワーカーはどういった思考が求められるか、悩んでいる方へのヒントになったのではないでしょうか。
これからの両社の取り組み・コラボレーションにも乞うご期待!
(9月完成予定の、カルビー様の新しいオフィスも楽しみです。)

【カルビー様の完成したオフィスは こちら

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働き方が変化の時を迎えた今だからこそ、自宅でも、オフィスでも、自分らしい幸せを感じるために。自分に一番フィットするハピネスな「働く」を見つけるためのヒントをお届けします。